さまよう刃

「#東野圭吾「#さまよう刃」」をNetflixで今すぐチェック

https://www.netflix.com/jp/title/81720557?s=i&trkid=14170032&vlang=ja&clip=81721995

 東野圭吾さんの作品はほぼコンプリートしている。170万部を超えた本作品も出版直後に読んだはず、と思い、調べてみたら、刊行は2004年の12月。

 翌年の「容疑者Xの献身」が第134回直木賞を受賞しているから、作家として、脂ののっていた時期だったんでしょうね。これもきっと直木賞ねらいだったんだろうと推察される力作です。

 

 wowow30周年記念ドラマながら、観たのはNetflix。第一話の迫力にひきずりこまれ、思わず最終6話までビンジウォッチしてしまいました。

 

 主演の竹野内豊さんが、娘を殺された父親役を好演しているほか、彼を助ける石田ゆり子さんも息子を早くに亡くしており、陰ある演技が光ります。

 

 古舘寛治が現場肌の刑事役でいい味わいをかもしだすとともに、警察の現場トップの國村隼さんの抑えた演技がドラマ全体を引き締めています。

 

 このドラマが心に訴えてくるのは、人間の怒りや憎しみ、悲しみといった内面から湧き起こる感情と、社会生活を営むうえで不可欠なルールとしての合理的な法律との間に、大きな溝があることに改めて気付かされるからだ。

 

 法律と感情の間にあるもの。それは、永遠になくすことのできないものと、言ってもいい。

 

 亡き娘の復讐で、手に血を染める父親の憤りは、社会の中で一定の賛同を得ていく。その背景には、凶悪犯罪を犯しても少年法で守られる触法少年に対する厳しい視線がある。

 

 わたしたちが普通に生活していると、完璧だと思っている法律だが、実は国や社会、時代に応じて大きく変化する、とても不安定なものであるということも教えてくれる。

 

 ドラマのラストで、警察を辞した國村隼がこぼすセリフが全てを物語る。

 

 「警察ってのは何なんだろうな。市民を守る正義の味方か?いや違う。法に則り、法を犯した人間を捕まえるのが仕事だ。警察が守るのは市民じゃない。法律だ。じゃ、その法律は絶対か?それも違う。法律は完璧じゃない。だから頻繁に改正される。法を守って駆けずり回る警察。時に人の心をふみにじる。被害者の親族の心も。それは許されることか?それは正義と言えるのか?」